2022年上半期に読んだ本。

去年は読んだ本についてだいたい1~2か月に1回くらいはブログに書けてたけど、今年はサボってしまった。。
子ども産んでからもちょこちょこ読んではいるので、いったん上半期の分を書く。 全部は書いてられないので何かしら書き残しておきたいなーと思った本についてだけ。

感想はネタバレ込みです

1月に読んだ本

Make Time: How to Focus on What Matters Every Day

2021年12月半ばから産休に突入したのだけど、なんとなく休暇中にTOEICを受験することにした。その勉強のために「英語の本でも読むかな~」ということで読んだのがこの本。同じ著者たちによる『SPRINT 最速仕事術』という本を既に読んでいたので、読みやすかった。
TOEICで950点を目標にしていて『キクタTOEIC L&Rテスト SCORE990』をやっていたのだけど、そこで学んだ単語がたくさん出てきたのでその意味でも良かった。文章はそんなに難しくないと思う。

この本は我々の毎日に、もっと時間を作ってあげる方法を紹介している。やらなくていいことに使う時間を減らして、やりたいことに使う時間を増やす方法。

そのために邪魔になるのがBusy BandwagonとInfinity Pool。特にグサッときたのが後者のInfinity Poolで、これは我々の時間を無限に奪っていくもののこと。スワイプでフィードをリフレッシュすることができるアプリはInfinity Poolだって言ってる。わかります、私にとってはTwitterがまさにそれです。
この本は結構デジタルデトックスを推奨するようなところがある。そこまでいかないにしても、デフォルトで設定されていて我々の気を散らすような設定はどんどん変更して、気を散らされないようにしていこうというスタンス。

著者たちが提唱するMake Timeの方法は、まず自分にとって重要な、その日やるべきことを1つ選ぶ(Highlight)。そしてそのHighlightのための時間を作るために余計な刺激をシャットアウトし、集中する(Laser)。それらを実行するために自分の脳をよく働く状態にしてやる(Energize)。これらをより自分に適した形で実行するために振り返りを行う(Reflect)…というもの。
この本には上記の1連の流れについての説明と、各フェーズで実行できる小技が書かれている。

"Pick, Test, Repeat"が合言葉になっていて、「色々な小技を紹介するから、この中からあなたに合いそうなものを選んで試して、よりよい形にしていってね!」って感じになっているのがなんだかいい。著者たちの中でも意見が分かれている項目があったりとかする。著者たちが「自分たちはこんな感じだったよ~」って生活のTipsを教えてくれる友達みたいに感じられる。
休暇中に読んだけど、在宅勤務に適用できるところが多そうだから再読しようかな。

つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。

『悟らなくたって、いいじゃないか』と合わせて産休中に再読。
子どもを産んだら今までよりもストレスが増えるだろうな…ということと、最近自分の行動に対して気づきが伴わず、ストレッサーに対して即反応してしまっているなと感じることが増えたので読んだ。
タイトルはなんだか軽薄な感じがするけど、中身は重い。物語の中でマインドフルネスとスキーマ療法が行われ、同時にそのやり方が解説されていくという形で進む。
マインドフルネスとスキーマ療法の解説は物語とは独立して書かれているので、しっかりした解説になっていると思う。小口の色が違うので解説だけ拾い読みすることもできる。
この本を読むと、自分も周りの人を傷つけたりする前に対処しなくてはな…という気持ちになれる。

伊藤絵美認知行動療法入門講義〈上・下〉

↑の『つらいと言えない人が~』の著者が行っている講義を書籍化したもの。講義は既に業務でクライアントに接している方向けのものなので実践的な講義になっている。
認知行動療法はクライアントが日々の暮らしの中で実践しながら進んでいくけれども、この本には実際に使われているツールが載っているので、自分で実践してみることも可能。
下巻にはツールの使い方だけではなく、そのツールを利用したセッションの逐語会話が載っているので参考にしやすい。こういう会話からこのような出力になるんだなーというのがわかる。実践するのにも役立つし、単純に読んでいてとても面白い。

2月に読んだ本

物語の役割

この本には「物語の役割」「物語が生まれる現場」「物語と私」というテーマの講演が収められていて、物語が人間にとってどのようなものか、そして小川洋子自身にとってどのようなものかが語られている。
読んでいると物語や人への深い愛を感じることができる。人生どんなにつらいことがあっても、物語さえあればきっと自分も大丈夫だと強い気持ちになれる。

とうてい現実をそのまま受け入れることはできない。そのとき現実を、どうにかして受け入れられる形に転換していく。その働きが、私は物語であると思うのです。

この部分を、よしながふみ『大奥』を読んでいる時に思い出した。阿部正弘の最後のシーン。どんなに強い人にだって、物語は必要なのだと思った。

スウィート・ヒアアフター

出産前後に読みたいと思ったのがこの本で、陣痛待ってる時間とか入院中のスキマ時間とかに読んだ。
出産って生死が交わる点だと思うから、生も死もふわふわ漂っているこの物語はぴったりだったと思う。
地に足がついていなくて、曖昧で、曖昧なまま終わる感じがいい。

事故後の描写、おじいちゃんがハーレーに乗ってきたり愛犬を抱きしめられたり…っていうところは本当に美しい。好きなシーン。

3月に読んだ本

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

めちゃくちゃ良かった!
イギリスでの子の学生生活を見守りながら暮らしと政治・社会との関わりを描く。日々の暮らしの出来事を丁寧に見つめればこんな風に政治・社会との関わりを見つけていくことができるんだなあ…凄いなあ…と思いながら読んだ。
これくらいの解像度の高さで日々の暮らしを送るにはどれだけの観察眼と知識が必要なのだろうか…。

子どもが産まれてから読んだので、きっと産まれる前に読むのとはかなり読み方が違ったかなと思う。
想像と共感の実践はこのように行われるのか。いつか子どもと読んで感想を話し合いたいと思った(押しつけにならなければ…)。

春の宵

この作家はとてつもなく酒とごはんが好きなのだろうと思った。つらい人生をじりじりと生き延びる中で、酒とごはんを食べるシーンだけは、漂流船がであった救助船みたいに、人生の救済めいた光を放っていた。 owlman.hateblo.jp

こちらのブログを読んで気になったので読んでみた。
短編集で、どこか寂しさとか悲しさを抱えた人がたくさん出てくる。だけどただ寂しかったり悲しいってだけじゃなくて、おかしみとか、あたたかみのある物語になっていると思うんだけど、そうしたおかしみとかあたたかみを演出しているのはお酒とご飯だったかもしれない。

酒を飲むのが悲しいけど酒を飲んでしまう、ということがわかる人はこれを読んだらぐっとくると思う。私はなんだか救われた…というか、孤独じゃないって気持ちになれた。

4月に読んだ本

チャリング・クロス街84番地

途中までフィクションだと思って読んでいたので、フィクションではないと知ってびっくり!
本を介して海を越えた交流。書簡のやり取りだけが載っているから、時代の出来事とかそれぞれの生活については知識や想像で補いながら読むしかないのだけど、それもまた楽しくてよかった。

5月に読んだ本

話すことを話す きちんと声を上げるために

「きちんと声を上げるために」とあるので、話すことに関してのハウツーっぽい本あるいは社会運動についての本なのかなと思っていたけど、読んでみたら、話すことに関してのエッセイ集っていう感じだった(筆者が話すことを磨くためにしていることなども書いてあるのでハウツーっぽいところもあるし、社会運動的なポイントもあるにはあるが)。

これを読んで、いい話し方だと思う人の話を全然聞いていないな~と思ったので、高山ゆかりさんの“「話し方」のハナシ”というポッドキャストをたまに聞くようになった。

「話し方」のハナシ

「話し方」のハナシ

  • 高山ゆかり(話し方講師)
  • キャリア
  • ¥0
podcasts.apple.com

6月に読んだ本

完全カラー図解 よくわかる発達心理学

様々なテーマがだいたい見開き1ページでコンパクトにまとまっていて、図解・イラストも多くて(イラストはすごくかわいい)読みやすい!
専門的な内容も書かれているけど、子どもを育てる親も読んでみて子育ての参考にできるレベルだと思う。

認知心理学とか発達心理学みたいなものが結構好きみたいで、読んでるとワクワクする。

8月に読んだ本

北京の台所、東京の台所 ――中国の母から学んだ知恵と暮らし

ウー・ウェンのレシピの背景を感じることができる一冊だった。
食材にあまり手を加えずに味わうものとか滋味深いものが多いなぁと思っていたけど、お母さんの教えがたくさん活きてるんだなと感じた。
彼女の半生を知るという意味でも、北京の人々の暮らしを垣間見ることができるという意味でも読んでいて楽しかった!

時代と暮らし、食の結びつきを知ることで、彼女のレシピで料理を作る時の気持ちがちょっと変わりそう。
時代と暮らしが描かれたエッセイって面白いし好きだなぁ〜って『僕はイエローでホワイトで~』読んで思ったけど、この本もそう。

47都道府県女ひとりで行ってみよう

旅を恋しく思いながら楽しく読んだ!
ひとり旅や旅先で人と話したりすることがむ苦手な筆者。なぜこの企画を…?というのがとても不思議なのだが、そのミスマッチ感がいちいち面白くて笑える。

人からどう見られてるのか気になったり、人に気を遣って自分では選びたくない選択肢を選んでしまったり…。読んでいてこちらまで釈然としない気持ちになってしまうこともしばしばなのだが、やや自嘲的だったりむしろ開き直ったりしている語りを見ていると、だんだん愉快な気持ちになって元気が出てくる。

自分はある程度の期間とかやりたいことができてから旅行とかをするタイプなんだけど、筆者みたいに「えいや!」という感じでやってみるのも楽しそうだなと思った。
まぁ子どもが小さいうちはちょっと難しいかもしれないけど…もっと気楽に旅するのもありだなって感じた。


わりと8月くらいまでは本を読めていた気がする。
子が寝返りとかずり這いで動くようになって、最近は後追いもするようになって、段々と本が読めなくなってきた。離乳食とかに手がかかるし、子のお昼寝時間も減ってきたし。仕事もフルタイムで始まったし。もっと時間の使い方を考えてうまくやらないと、なかなか本も読めないな(まさに"Make Time"を読むべき時だ…)。

昔は本ならなんだって読むくらいの勢いだったけど、今は、読める本が限られているということを切実に感じる。自分にとっていい本をしっかり選んで読みたいものだな。