2,3月に読んだ本。次の夜明けに、ペリリュー ―楽園のゲルニカ―、向井くんはすごい!

2月に読んだ本は3冊、漫画が1冊(1作品)。 3月に読んだ本は1冊、漫画が12冊(2作品)。
そのうち面白かった3冊と2作品について書く。

次の夜明けに

誠品書店で見つけて、書影がめっちゃかっこよくて手に取った。
今読めて良かった、おすすめの一冊。

台湾で生きる家族3代を中心にした物語。二二八事件に始まり、台湾で実際に起きた出来事と家族の人生が交わりながら進んでいく。
連作短編という形式でコンパクトにまとまっている。固有名詞はあまり多くなく、注釈もしっかり入っているので読みやすかった。

物語の中では社会問題や運動と、家族の物語が同時に描かれる。
家族3代の物語になっているので、家や社会への抗えなさとか、逆に変化を起こしていく姿とか、時代や人物によって様々な関わり方が出てくる。家も社会も人によって編まれるもので、誰もがその一部なんだということが感じられた。

訳者あとがきで、タイトルを『次の夜明けに』とするか『次の夜明けへ』とするかで迷ったという話が書かれていて、そのくだりで訳者の三須祐介がこんな風に言っている。

これは台湾の物語であるが、台湾という枠組みを超えた物語でもある。どんな場所に住んでいたとしても、日々ニュースに接してさえいれば、この作品に登場するような人物や事件に出会うはずである。あるいは、あなたじしんが登場人物なのかもしれないのだ。

確かに台湾を舞台にしているし、台湾でしかありえない物語ではあるんだけど、家や社会との関わりという部分では台湾に限らない。
「自分は家や社会とどう関わっていくのだろう?」という問いや、自分の行動は何かしらそれらと繋がっているし、何かしようとすることは無意味じゃないんだという勇気が生まれてくる物語だった。

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ペリリュー ―楽園のゲルニカ

読むきっかけになったのはこちらのツイート。

まず表紙の美しさに惹かれた。等身が小さくデフォルメされた人物と、朽ちた兵器と緑。漫画の背景として自然があるんじゃなくて、自然がメインでその中に人間が書き込まれているような感じ。
実際、漫画を読んでみてもペリリューという島の存在感が大きかった。人物が3頭身でかわいらしく描かれている一方、自然の書き込みはとても細かくて圧巻。自然の力強さと、かわいらしいキャラクターの惨たらしい死という描写の対比が凄い。

戦争を描いた作品だけど、ドラマチックな描き方をしている箇所は多くなく(第1巻でそうしたドラマチックさは否定される)、視点はとてもミクロというか「生活感」のある作品だった。飢えとの戦い、寝床の確保、潜伏生活中の息抜き、糞便の処理など。こうした日常的な描写と戦闘とが入れ替わり描かれるのでどんどん先に読み進めてあっという間に読み終えてしまった。

今年の7月に11巻(最終巻)が発売予定。楽しみ。

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向井くんはすごい!

容姿端麗で運動も勉強もできる高校生の向井くん。彼がゲイであるということがクラスLINEでバラされるというのが物語の始まり。
向井くんは、そうした出来事があって彼をよく思わないクラスメイトがいながらも、人気者で多くの友人に囲まれている。
それを眺める、ゲイであることを周りに明かしていない(そして明かすまいと思っている)森谷くんが主人公のお話。

上下巻に短くまとまってるので、展開が早くて登場人物たちのキャラクターがちょっと物語的に都合がよすぎる…みたいな感じはした。ただ、そうしたキャラクターたちの行動を物語が断罪したり裁くようなことがないのが新鮮で、そこがすごく良いと思った。

作者による紹介ツイート。

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図書 2020年 11月号、2020年 12月号

畑中章宏の「らしさについて考える」という文章が気になって図書館で借りて読んだけど、他にも面白い文章がたくさん。特に川端裕人の「ドードーはどこへ行った?」と興膳宏の「杜甫の作った冷やし麺」が面白かった。

色んなテーマの文章が入っていて、でもどの文章も質は高くて短くて読みやすい。気軽に読めてありがたい小冊子だなーと思った。

誠品書店にはレジ前にtake freeとして置いてあったけど(びっくりして「これはお金を支払わなくていいのですか?」と謎にたどたどしく聞いてしまった…)、それは誠品書店が特別なのだろうか。

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2,3月はこんな感じ。
『次の夜明けに』を読めたのが良かった。あと、ここには載せなかったけど『一冊でわかる中国史』という本を読んで古代から現在までのざっくりした中国史を概観したりとかして、東アジアの歴史への興味がちょっと高まっている。